未経験の職種に転職や就職をすることは勇気がいりますよね。
当サイトでは実際に特定の職種で働いている方の体験や経験など生の声を紹介しています。
この記事では、博物館で学芸員として働く30代女性がやっている具体的な仕事を紹介します。
この職種で働いている方のお話を参考にして、転職を成功させませんか?
博物館で研究職(学芸員)をしている方の基本情報
年第・性別 | 30代女性 |
勤めている企業名 | 博物館 |
職種 | 研究職(学芸員) |
社会人歴 | 6年 |
学歴 | 東京大学大学院修了(博士) |
今の年収 | 月の手取り額:日給8000円×出勤日(週3~4勤務、おおむね10万程度) *指定管理者が入っている博物館で、正社員になると指定管理側の業務もしなければならなくなるので、協議の上パート扱いで勤務しています。 年間ボーナス:なし 年収:120万円程度 |
月の残業時間 | 0時間 |
博物館の研究職(学芸員)の仕事内容
いわゆる博物館の「中の人」をやっています。
本業は調査・研究で、主体的に行うものとしては博物館の企画展や講座の企画や調査・取材、受動的なものとしては収蔵品や地域に関する全国からの問い合わせに対する回答や調査・取材を行っています。
必要に応じて論文を執筆し専門誌に発表しています。
業務内容としては大学教授に近いかもしれません。
加えて、当館は職員が少ないので、本業の他に事務作業など総務的な内容もあります。
たとえば来館者対応、チケットや書籍販売にかかわる金銭管理、展覧会のチラシ作成と各所への発送、蔵書管理、館内外清掃など。
また当館は学校見学を受け入れているので学校との打ち合わせや当日の案内、ブログ運営などもあります。
博物館の研究職(学芸員)を仕事に選んだ理由
積極的に探していたわけではありませんが、たまたま縁があって雇ってもらいました。
大学院在学時から、本当は大学の専任教員職を探していました。
大変少ないポストなので、当時の指導教員が「つぶしがきくように学芸員か司書、教職のどれか取っておいたら?」と提案してくれて、授業日程の都合で学芸員資格を在学中に取りました。
一度は全く関係ないIT企業に就職し、数年たった頃に、大学院の恩師から「資料整理で学芸員有資格者を探している博物館がある」と紹介を受けて、現在のところに行きました。
博物館に勤める30代女性研究職(学芸員)の1日の仕事の流れ
仕事はシフト勤務で、他職員や学校見学の予定を見つつ週3~4日出勤しています。
朝は(仕事の有無にかかわらず)6時に起床し、お弁当を持って7時半に家を出ます。
通勤は自家用車で、おおむね8時15分~30分の間に館に着きます。
勤務時間は9時から。
到着したらセコムを解除して展示室の電気をつけ、正面の自動ドアをあけて「開館中」の表示を出します。
この時外ポストに手紙があれば回収します。
学校見学がある日は案内をしたり、イベントの前後ではその準備をしますが、基本的には各人が自分の専門の調査・研究を自分のペースで進めている感じです。
昼は12時から13時ですが、電話が来たり来館者がいる場合は都度対応します。
夕方は16時半に最終入館なので、それが過ぎたら札をさしかえて正面玄関を閉め、展示室の電気を落とします。
以降は片づけと日誌の記入、週末や月末は売上の計算をして、17時になるとセコムをかけて退勤します。
博物館の研究職(学芸員)が忙しい時期
学校の校外学習がある初夏(5-6月)と秋(9-10月)は毎日のように見学に来るので忙しくなります。
また当館恒例のイベントが年に何回かあり、その前数週間は準備や買い出しなどで忙しくなります。
また、年に1~2回企画展を行うので、その担当になると数年~半年前から調査や資料の準備・借りだし、展示物作成などをするため仕事量が一気に増えます。
30代女性が考える博物館の研究職(学芸員)が向いている人の特徴
専門職なので自分の研究をしっかりできることは大前提です。
加えて、展覧会やチラシ作成、講演会など発表をする機会があるので人前で話すことが好きな人や、プレゼン力がある人、PPTを使いこなせる人は重宝されます。
また中小規模の博物館だと学芸員自ら色々な雑務をするので、専門外のことも苦にせずできる・学ぶ意欲がある人。
とくに絵が好き・DIYが得意である・工作が好きだと、館内の装飾や展覧会開催時のPOPや模型作成などができるので、とても楽しく働けます。
30代女性が考える博物館の研究職(学芸員)にある強み
特に文系にとっては数少ない研究職ポストの一つで、専門を極めながらお金を稼ぐことができる職です。
文系大学院生はほぼ「大学に職を得るか、諦めるか」くらいの状況で、加えて現状は大学のポストも減っていて、なかなか自分の専門で食べていけない状況です。
そんな中にあって博物館で学芸員で働けることは数少ない働き口の一つなので、専門を極めたい人にとっては魅力的な所なのではないでしょうか。
また、いちおう国家資格で専門職なので、多少尊重されます。
30代女性が考える博物館の研究職(学芸員)にある弱み
資格はあっても活躍の場所がない事も多いです。
また、自分の専門ぴったりの博物館に就職できないこともあります。
現に私もそうで、現在農業系が強い博物館に勤めていますが、本当の専門は文献史学です。
そのため、「資格だけあってそこの展示に関する知識は少ない、でも専門家として働かなければならない」という状況に陥ることがあります。
幸い今はそちらの分野の勉強も楽しくやりながら勤務できていますが、合わない所に就職してしまったら大変だと思います。
30代女性が考える博物館の研究職(学芸員)で働くのに有効な資格
必須ではありませんが、図書室が併設されている博物館が多いので、司書資格があると本の整理などに役立つかもしれません。
また学校見学を受け入れるような博物館だと、都道府県や市町村の教育委員会とつながりが深いことがあるので、教職を持っていると有利かもしれません。
館によっては教職保有者は時給が若干有利になることもあるとか。
30代女性が考える博物館の研究職(学芸員)で働くやりがい
展示物や配布物、イベントなどで来館者の反応がダイレクトに見られるのはとても楽しいです。
大学の研究だとなかなか自分の成果の反応が見られないのですが、ここでは専門家から以外にも一般の来館者の方の反応を見ることができたり、それで興味をもった方がまた後日来てくれたりなどして、成果をいわゆる「社会に還元する」現場を生で見ることができるのはとても楽しいです。
30代女性が感じる博物館の研究職(学芸員)で辛かったこと
専門じゃないことも業務上勉強しなければならないのは大変でした。
いまいる博物館は農業系の展示に力を入れている所で、着任するまで私はまったくそちらの方面の知識がなかったのですが、着いたとたんに「学芸員だから」と専門的な質問をいくつか回されたりして、必死で調べて回答したのを覚えています。
館にあるような本は本当に専門書ばかりで、入門レベルも分からなかったので、休みの日に図書館に通って入門レベルの本を読み漁りました。
30代女性が博物館の研究職(学芸員)としてもらっている収入は高いか低いか
学芸員という枠で見れば低い方だと思います。
県立や市立博物館の場合、学芸員は地方公務員になるので大企業並みの待遇になります。
ただ私のいる博物館は指定管理者が経営している半官半民のような所で、加えて指定管理者の正社員になるとそちらの業務も担当せざるを得ないので、館長や指定管理者側と協議の上、現在博物館専属のパート扱いになっています。
そのぶん勤務に融通がきくので良いのですが。
博物館の研究職(学芸員)で働いていくなら持っておきたいスキル
専門を極める以外にも、博物館全体や地域全体に関する知識を得ることが今後必要になってくると思います。
当館は地域の歴史や民俗を残す役割も担っていますが、私はまだまだ細かい地名や相互の位置関係、旧街道の場所などは分からず、話を聞きながら地図を見て…というような状況。
もう少し地域に対する理解を深めて、専門分野だけにこだわらない見方ができるよう目指していきたいと思っています。
博物館で学芸員として働く30代女性がやっている具体的な仕事まとめ
主な仕事は調査・研究、企画展や講座の企画、収蔵品に関する問い合わせ対応。
論文を執筆し、専門誌に発表することもある。
小規模な博物館で職員が少ないため、事務作業や総務も担当。
学校見学の受け入れやブログ運営も行っている。
学芸員になったきっかけは大学院の指導教員の提案と縁。
忙しい時期は学校の校外学習がある初夏と秋、また企画展の前数週間。
向いている人の特徴は専門職であり、プレゼン力があり、多様な業務に対応できる人。
学芸員の強みは専門を極めながら働ける数少ない職種であること。
学芸員の弱みは専門外の知識も必要で、活躍の場所が限られること。
有効な資格は司書資格や教職資格。
やりがいは来館者の反応がダイレクトに見られること。
辛かったことは専門外の知識を急いで学ぶ必要があったこと。
収入は地方公務員に比べて低いが、勤務に融通がきく。
今後必要なスキルは地域全体に関する知識と柔軟な視点。
いかがでしたか?
博物館で働く学芸員は、ただの研究者ではありません。
調査や研究はもちろん、展示の企画や学校との連携、さらには事務作業まで、いろいろなことをやっています。
博物館で学芸員として働く30代女性がやっている具体的な仕事が職種選びの参考になっていれば幸いです。
当サイトでは、このほかにも様々な職種で働いている方の生の体験談を紹介しています。
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